「早慶や旧帝大の、抽象的で難解な英文が読みこなせない…」 「入試で小説が出るが、対策方法がわからない…」 『基礎 英文解釈の技術100』などで培った技術を、さらに上のレベル、特に「小説」や「超長文」の読解へと昇華させる一冊が『英文解釈のテオリア~英文法で迫る英文読解入門』です。
この記事では、最難関大学の英語を制圧するための「最後の砦」とも言える本書の特性と、その攻略法を解説します。
参考書データ
| 項目 | 詳細 |
| 書名 | 英文解釈のテオリア~英文法で迫る英文読解入門 |
| おすすめ度 | ★★★★☆(星4) |
| メイン対象 | ・早慶や旧帝国大学志望者 ・英語が非常に得意で文法に強い興味がある人 ・入試で「小説」が出題される大学の志望者 |
| 修了目安時間 | 約30時間 |

なぜ『英文解釈のテオリア』がおすすめなのか?
メリット・おすすめする理由
- 「小説」の読解に対応できる希少性: 多くの解釈本が「評論・エッセイ」を中心に扱う中、本書は「小説」の読解(情景描写や登場人物の心理描写など)にまで踏み込んで解説しています。入試で小説が出題される大学(東大や一部の私大文学部など)を志望する受験生にとって、非常に価値のある一冊です。
- 圧倒的に詳細な「文法」からのアプローチ: 本書の最大の特徴は、英文を「文法」の側面から徹底的に解剖することです。「なぜ、ここでこの時制が使われるのか」「この冠詞が持つニュアンスは何か」といった、他の参考書では省略されがちな部分まで深く掘り下げます。英文法に強い興味がある学生の知的好奇心を満たし、英語の「核」の部分から理解を深めることができます。
- 早慶・旧帝レベルの読解に必要な「思考」が学べる: 最難関大学の英語では、単純な構文把握だけでなく、文脈全体から筆者の意図やニュアンスを読み取る力が求められます。本書の詳細な解説を追体験することで、難解な英文と格闘する際の「思考プロセス」そのものを学ぶことができます。
デメリット・注意点
- 絶対に「入門」ではない(最重要): 本書の最大の注意点です。書名に「入門」とありますが、これは絶対に信用してはいけません。内容は極めてハイレベルであり、生半可な英語力で手を出すと確実に挫折します。『基礎 英文解釈の技術100』はもちろんのこと、塾長の経験上、『英文読解ポレポレ』を完璧に仕上げた後に取り組むくらいで丁度よい難易度です。
- 人を選ぶ「詳しすぎる」解説: メリットの裏返しですが、解説が非常に詳細(悪く言えば「冗長」)です。英文法に対してそこまで興味がない学生や、「手っ取り早く構文だけ知りたい」という学生には全く向きません。「なぜそうなるのか」という理屈を徹底的に追求したい、英語が非常に得意な学生向けの参考書です。
- 目安時間(30時間)以上に時間がかかる可能性: 1文1文の解説が濃密なため、修了目安時間は「約30時間」としていますが、これは最低ラインと考えた方がよいでしょう。解説を読み込み、文法書に戻って確認する作業を含めると、それ以上の時間がかかることを覚悟する必要があります。
『テオリア』を30時間で制覇する学習法
本書は『基礎100』のような「サイクル学習」よりも、「深い思索」が求められます。
- まずは自力で徹底的に「読む」: 解説を読まずに、まずは自力で英文を読み、和訳だけでなく「なぜその構造になるのか」「筆者のニュアンスはどこにあるか」まで考え抜きます。
- 著者の「思考」をトレースする: 本書の肝である詳細な解説を熟読します。自分が読み取れなかった文法事項、ニュアンスを徹底的に吸収します。「なるほど、文法的にはそういう解釈になるのか」と、著者の思考プロセスを追体験することが重要です。
- 文法書で「関連知識」を深掘りする: 解説で気になった文法事項(時制、冠詞、仮定法など)は、必ず総合英文法書に戻り、関連知識ごと復習します。この作業を省くと、本書の効果は半減します。
- 「直読直解」(速読の土台)の習得:構造を意識しながら「音読」します。この時、「返り読み」を絶対にせず、英語の語順でイメージを掴むようにしてください。
こんな人におすすめ!
- 早慶、旧帝国大学(東大・京大など)を第一志望とする人
- 入試で「小説」の読解問題が出題される人
- 英語が非常に得意で、英文法を深く追求したい人
まとめ:『テオリア』で文法の「核」を掴む
『英文解釈のテオリア』は、受験生の8割には不要かもしれない、非常に高度で専門的な参考書です。しかし、残りの2割、すなわち最難関大学を目指し、かつ英語を「武器」にしたいと考える受験生にとっては、他の何にも代えがたい「思考の訓練」を提供してくれます。この一冊で英語の「核」を掴み取ることができれば、あとは志望校の過去問演習(レベル3)へと進む準備が整います。



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