「志望校に合格するためには、1日何時間くらい勉強すればいいんだろう?」 高校3年生になると、多くの受験生がこの疑問にぶつかります。周りの友達が長時間勉強していると聞くと、焦りを感じることもあるかもしれません。
結論から言うと、「〇時間やれば絶対に合格する」という決まった時間はありません。時間の長さと「勉強の質」の両方が重要であり、現実的には平日は4時間が一つの目安になります。
この記事では、大学受験を控えた高校3年生に向けて、勉強時間の目安から、科学的根拠に基づいた効率的な学習法、そして意外と重要な休息の取り方まで網羅的に解説します。
高校3年生の勉強時間、目安はどれくらい?
まずは、一般的な勉強時間の目安を平日・休日別に見ていきましょう。
※ここでの勉強時間は、学校の授業以外の「自主学習時間」を指します。
- 平日の目安学習時間 3時間~5時間
- 休日の目安学習時間 8時間~12時間
もちろん、これはあくまで一般的な目安です。通学時間や部活動の引退時期、個人の体力、そして時にはメンタル面によって可能な学習時間は人によって異なります。大切なのは、他人と比べるのではなく、自分が続けられる現実的な「継続可能な最大の学習時間」を見つけ出すことです。
時期別の勉強スタイル
受験勉強は長期戦です。時期によって学習の重点も変わるため、勉強時間や内容も調整していく必要があります。
- 1学期(4月~夏休み前):まずは勉強習慣を確立する時期です。平日4時間、休日10時間を目標に、基礎固めを中心に取り組みましょう。もちろん、部活動によってはこの学習時間は不可能かも知れません。大切なのは、今の自分にできる最大限の時間を見つけ、継続することです。
- 夏休み:受験の天王山。1日10時間を目標に、総復習と苦手分野の徹底的な克服に時間を使いましょう。この時期に基本を完成させておくことが、秋以降の伸びを大きく左右します。
- 2学期(9月~12月):応用力・実践力を養う時期。学校行事などで忙しくなりますが、集中力を維持し、過去問演習などを通じて志望校対策を本格化させます。
- 直前期(1月~本番):新しいことに手を出すよりも、これまでやってきたことの復習と体調管理が最優先です。睡眠時間を確保し、心身ともにベストな状態で本番を迎えられるように調整します。
「時間」より「質」が重要!科学的根拠に基づく効率UP術
長時間勉強しても、内容が頭に入っていなければ意味がありません。大切なのは、いかに集中して質の高い学習をするかです。ここでは、脳科学の観点からも効果が認められている2つのメソッドを紹介します。
① 集中力を最大化する「50分+10分」の時間管理術
人間の集中力には波があり、一般的に90分程度を一つのサイクルとする体内リズム(ウルトラディアンリズム)があると言われています。長時間連続で勉強するよりも、適度な休憩を挟む方が、脳は活性化し、記憶も定着しやすくなります。
そこでおすすめなのが「ポモドーロ・テクニック」を応用した時間管理法です。
【具体的な方法】
- 「50分間」、タイマーをセットして勉強に超集中する。
- この間は、スマートフォンを機内モードにするなど、通知や誘惑を徹底的にシャットアウトしましょう。
- タイマーが鳴ったら、「10分間」の休憩を取る。
- このサイクルを繰り返す。
【効果的な休憩の過ごし方】 10分間の休憩で脳をしっかり休ませることが重要です。
- OKなこと:ストレッチをする、窓を開けて外の空気を吸う、目を閉じてリラックスする、好きな音楽を1曲聴く、水分補給をする
- NGなこと:スマートフォンでSNSや動画を見る、ゲームをする
- スマホなどから得られる情報は、脳にとっては「刺激」であり、脳が休まりません。休憩時間はデジタルデバイスから離れる「デジタルデトックス」を意識しましょう。
② 睡眠時間は絶対に削らない
「寝る間も惜しんで勉強」は、百害あって一利なしです。睡眠不足は、集中力、記憶力、判断力を著しく低下させます。
脳は、寝ている間に日中学習した情報を整理し、記憶として定着させます。特に、深い眠りである「ノンレム睡眠」中にこの作業が行われます。睡眠時間を削ることは、せっかく勉強した内容を脳に定着させる機会を自ら捨てているのと同じことです。
高校3年生であれば、最低でも6時間、理想は7時間の睡眠を確保しましょう。
あえて「何もしない日」を作る勇気 ~週1日の全休メリット~
毎日休まず勉強を続けるべきか、それとも休息日を設けるべきか。これも多くの受験生が悩むポイントです。もし計画的に学習を進められているのであれば、週に1日、全く勉強しない「全休日」を設けることがおすすめです。
【全休日を取り入れるメリット】
- 燃え尽き症候群の防止:受験勉強という長期的なストレスから心身を解放し、精神的な余裕が生まれます。
- モチベーションの維持:「この日を楽しみに、あと〇日頑張ろう」という短期的な目標ができ、学習意欲が湧きやすくなります。
- 学習内容の定着:脳がリラックスしている間に、無意識下で学習内容が整理され、記憶が強化される効果も期待できます。
- 客観的な自己分析:勉強から一度離れることで、自分の学習計画や進捗状況を冷静に見つめ直すきっかけになります。
【全休日のポイント】
- 「休む」と事前に決める:罪悪感を持たずにリフレッシュするため、「毎週日曜日」など、休む日をあらかじめ計画に組み込んでおきましょう。
- 勉強から完全に離れる:友達と遊びに行く、趣味に没頭する、好きなだけ寝るなど、心からリラックスできることをして過ごしましょう。
どうしても休むのが不安な人へ 「丸一日休むのはどうしても不安…」という場合は、「半休日」を設けるのがおすすめです。例えば、「日曜の午前中だけは勉強するが、午後は完全にフリーにする」といった形です。あるいは、「土曜日は午前中に学校があるから、放課後はフリーにする」のも良いでしょう。自分に合ったリフレッシュ法を見つけることが大切です。
挫折しない!「合格逆算」学習計画の立て方
自分に合った勉強時間を見つけるには、まず計画を立てることが不可欠です。
- ゴールから逆算する:志望校合格というゴールから逆算し、「1ヶ月でこの参考書を終わらせる」「1週間でこの単元を完璧にする」といった月間・週間の目標を設定します。
- 「時間」ではなく「タスク」で計画する:「今日は数学を2時間やる」ではなく、「今日は数学の問題集をP.10~P.20まで解き、間違えた問題を解き直す」というように、具体的なタスクに落とし込みます。
- 計画に余白を持たせる:計画通りに進まない日も必ずあります。週に1度は計画を見直す日を設けておくと、焦らず柔軟に対応できます。
まとめ:自分だけの「合格スケジュール」を見つけよう
- 「平日4時間、休日10時間」を目標にする。
- 「50分+10分」のサイクルで、勉強の質を高める。
- 睡眠時間は絶対に確保する。
- 具体的なタスクベースで学習計画を立てる。
周りの人と比べて焦る必要はありません。大切なのは、昨日より今日の自分が少しでも成長していることです。この記事を参考に、あなただけの「合格へのスケジュール」を見つけ、着実に実行していってください。
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