「春にはあったやる気が、なぜか続かない…」 「模試の成績も伸び悩み、焦りだけが募っていく…」
夏が終わり秋風が吹き始めると、多くの浪人生がこのような「中だるみ」に直面します。これは、あなたの意志が弱いからではありません。むしろ、春から一生懸命走り続けてきた証拠であり、合格までに多くの受験生が通るごく自然な踊り場なのです。しかし、ここで失速してしまうかそれともこれを乗り越えて再加速できるかが、最終的な合否を大きく左右します。
今回は特に浪人生活の正念場である「秋の中だるみ」に焦点を当て、その原因と具体的な克服法を、私の経験も交えてお話しします。
なぜ「中だるみ」は起きるのか?原因を知れば怖くない
まず、敵の正体を知りましょう。秋にモチベーションが低下する主な原因は3つです。
- 新鮮味の喪失とマンネリ化:春先の「今年こそは!」という高い志も、半年近く同じ生活を繰り返すうちに薄れてしまいます。
- 成果が見えにくい停滞期:基礎固めを終えてもすぐには模試の成績に現れず、「こんなにやっているのに…」と不安になります。
- 心身の疲労の蓄積:自分では気づかないうちに半年間の緊張と学習の疲れが溜まり、集中力が低下しやすくなります。
これらはいわば長距離走の30km地点。一番苦しいですが、ゴールはもう見えています。ここを乗り切るための具体的な処方箋を4つご紹介します。
「中だるみ」を乗り越える4つの処方箋
処方箋①:目標の「再設定」と「細分化」を行う
「志望校合格」というゴールは、秋の時点ではまだ遠すぎて日々のやる気に繋がりづらいものです。
そこで、「今週末までに、この数学の問題集を完璧にする」「次の模試で、英語の点数を10点上げる」というように、短期で達成可能な具体的な「ミニ目標」を立てましょう。
前回の記事でお話しした「タスクベースの計画」を、より短期的な視点で見直すのです。小さな成功体験を意図的に積み重ねることが「自分は前に進んでいる」という実感を生み、再びエンジンを温めてくれます。
処方箋②:勉強する「場所」や「時間帯」を少しだけ変えてみる
毎日同じ机、同じ景色では、脳が刺激を失いマンネリ化してしまいます。
- いつもと違う図書館の席に座る
- 週に一度、午前中だけカフェで勉強してみる
- 思い切って部屋の模様替えをする
といった小さな環境の変化が、驚くほど気分転換になります。「50分集中+10分休憩」のリズムは崩さずその集中する場所を少し変えるだけで、脳はリフレッシュされ新たな気持ちで机に向かえます。
処方箋③:「小さなご褒美」で自分を動かす
「このタスクが終わったら、好きなアーティストの曲を1曲だけ聴く」「今週の目標を達成したら、少し高級なコンビニスイーツを食べる」など、自分自身のために小さなご褒美を用意しましょう。
これは脳科学的にも証明されている「報酬の効果」です。自分を追い込むだけでなく上手に自分を「釣る」ことも、長期戦を戦い抜くための重要な戦略です。
処方箋④:体を動かし、脳をリフレッシュさせる
以前、「睡眠」の重要性をお話ししましたが、「軽い運動」も同様に不可欠です。
休憩時間の10分で散歩やストレッチをするだけでも、脳への血流が良くなり記憶力や集中力が高まります。特に、一日中座りっぱなしで思考が固まってきたと感じたら、外に出て5分歩くだけで、頭の中が整理されるはずです。これはサボりではなく、学習効率を上げるための積極的な行動です。
まとめ
- 中だるみは頑張ってきた証拠。まずは自分を認める。
- 目標を細分化し、「小さな成功」を積み重ねる。
- 環境を変え、ご褒美を用意し脳のマンネリ化を防ぐ。
- 軽い運動をペースメーカーとして活用する。
- 苦しい時こそ「休む勇気」を忘れない。
秋の中だるみは、いわば「成長痛」のようなものです。この壁を乗り越えた時、あなたは精神的に一回りも二回りも強くなり合格がぐっと近づいてきます。
焦らず、自分のペースで一つひとつ目の前の課題をクリアしていきましょう。あなたの努力が実を結ぶことを心から信じています。
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