「中学英語まではわかったのに、高校英語になった途端何も読めない…」 「SVOCを振れと言われても、そもそもどれが主語(S)でどれが動詞(V)かもわからない…」これは、英語学習を本格的に始めた高校生や、英語から長期間離れていた受験生が最初にぶつかる「絶望の壁」です。
この「壁」を突破し、中学レベルの知識を「英文を読む」という最初の成功体験に変えるための参考書が、今回ご紹介する『大学受験スーパーゼミ 徹底攻略 超入門英文解釈の技術 60』です。
この記事では本書がなぜ「英語アレルギー」の克服に最適なのか、そして私が提唱する「2周学習サイクル」をどのように適用すれば、この一冊を完璧にマスターできるかを徹底解説します。
参考書データ
| 項目 | 詳細 |
| 書名 | 大学受験スーパーゼミ 徹底攻略 超入門英文解釈の技術 60 |
| おすすめ度 | ★★★★★(星5) |
| メイン対象 | 英語が本当に苦手な人(高校入門レベル)、入試基礎レベル(共通テストレベル未満) |
| 修了目安時間 | 約38時間 |

なぜ『超入門 英文解釈の技術60』がおすすめなのか?
本書は、『入門 英文解釈の技術70』が「英文法(点)」と「英語長文(面)」をつなぐ「線」だとすれば、本書は「中学英語(点)」と「高校英文法(点)」をつなぐ「最初の短い線」を描く技術を学ぶために最適化された一冊です。
メリット・おすすめする理由
- 「S+V」から始める究極のスモールステップ: タイトルに「超入門」とある通り、本書は「主語と動詞を見つける」という、英文解釈の原点からスタートします。難しい構文や単語は徹底的に排除され、「これなら自分でもわかるかも」というレベル設定で、英語アレルギーを持つ学習者の「最初の成功体験」を何よりも大切にしています。
- 中学英語から高校英文解釈への完璧な「橋渡し」: 「中学英語は完璧」なつもりでも、高校英語で挫折する人は多いです。本書は、「なぜ、この ‘to’ は『~すること』と訳すのか?」「なぜ、この ‘that’ は省略できるのか?」といった、中学英語の知識を「高校英語の読み方」に変換する作業を、60の技術として丁寧に解説してくれます。
- 英語アレルギーを払拭する「わかった!」の連続: 全ての例文に、非常にシンプルな構文図解(SVOC)が掲載されています。難しいことは一切抜きにして、「英語はこういうルールで並んでいるんだ」という根本原理を叩き込んでくれます。この「わかった!」の積み重ねが、次のステップへ進むための自信となります。
デメリット・注意点
- これ一冊で「入試」は戦えない: 本書のゴールは、あくまで「入試基礎レベル(共通テスト未満)」です。本書を終えただけで共通テストや日東駒専レベルの長文が読めるようにはなりません。明確に「次の一冊(=『入門70』)」が必要な「ステップ0」の教材です。
- 「中学レベルの文法」がゼロだと進められない: 「超入門」とはいえ、「be動詞と一般動詞の区別がつかない」「品詞(名詞、動詞、形容詞)が何か分からない」という状態では進めるのが困難です。最低限、中学レベルの文法用語を「聞いたことがある」状態にしてから取り組む必要があります。
「2周学習サイクル」で『技術60』を38時間で制覇する
本書を約38時間で完璧にするには、「精読」と「速読」のサイクルが最も効率的です。
ステップ1(1周目):「分析フェーズ」で“英語のルール”を発見する
- 目的: 100%の正確さ(精読)の確立
- 目安時間: 約30時間
- 自力でSV(O, C)分析と和訳を行う(例:1テーマ10分): まずは解説を隠し、例題の英文に「これが主語(S)」「これが動詞(V)」と、わかる範囲で印をつけます。そして、単語を繋ぎ合わせた「直訳」をノートに作ります。最初はボロボロでも構いません。
- 解説を熟読し、分析を修正する(例:1テーマ20分): 本書のシンプルな「構文図解」と「解説」を読み込みます。「なぜ、自分はこれを主語だと思ったのか?」「なぜ、この単語は動詞ではないのか?」という「なぜ」を徹底的に潰します。もし分析が間違っていたら、それは「中学レベルの文法知識」の不足です。文法書に戻り、「be動詞」「SVO」「不定詞」などの該当単元を必ず復習してください。
この1周目(分析フェーズ)が、38時間のうち最も重要なステップです。「なんとなく」を許さず、「なぜ、この単語がSになるのか」を他人に説明できるレベルで60テーマすべてを分析し尽くします。
ステップ2(2周目):「統合フェーズ」で“英語の語順”に慣れる
- 目的: 「英語の語順」で理解する(直読直解)感覚の習得
- 目安時間: 約8時間
- 構造を意識しながら「音読」する: ステップ1で完璧に構造を分析し、理解しきった英文(60文)のみを使います。
- 英語の語順でイメージを掴む: (This is / a pen.) 「これは / 一本のペンです」 (I play / tennis.) 「私はします / テニスを」 このように、前から意味のカタマリごとに理解していきます。本書のシンプルな例文だからこそ、「英語の語順のまま理解する」という訓練が効果的に行えます。
この「精読(分析)」と「速読(統合)」のサイクルこそが、『技術60』のポテンシャルを100%引き出し、あなたの英語アレルギーを「本物の基礎力」へと変革させる鍵となります。
こんな人におすすめ!
- 中学英語までは分かったが、高校英語で完全に挫折した人
- SVOCを振ろうとするとパニックになってしまう人
- 偏差値30〜40台で、まず「英語を読む」という成功体験が欲しい人
- 『入門 英文解釈の技術70』を手に取ったが、難しすぎて挫折した人
まとめ
『超入門 英文解釈の技術60』は、あなたの学習ロードマップにおける「英文解釈(レベル0)」、すなわち英語学習全体の「最初のとっかかり」として機能する最高の教材です。多くの受験生が『入門70』から入って挫折する中、本書で「自分にもできる」という確信を得ることは、今後の英語学習において最強のアドバンテージとなります。ぜひ、この記事で紹介した「2周学習サイクル」を用いて、地味な訓練を堅実にこなし、強固な土台を築き上げてください。




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