「英文法の4択問題は解けるのに、長文になると途端に読めなくなる…」 「答えは合っているが、なぜその答えになるのか論理的に説明できない…」
もしあなたがそう感じているなら、それは英文法を「暗記科目」として処理してしまっている証拠です。単なるルールの羅列を頭に詰め込んでも、実際の入試長文という戦場では使い物になりません。
必要なのは、知識を「知っている」状態から、無意識に「使える」状態へと昇華させるプロセスです。今回は、1日50分という限られた時間で、英文法をあなたの最強の武器に変えるための戦略的ロードマップを提示します。
敗北の典型:英文法学習の「3つの罠」
まずは、多くの受験生が陥り、時間を浪費してしまう「負けパターン」を排除しましょう。
- いきなり問題集を解く: ルールの「理屈(Why)」を理解しないまま、ゲームのように〇✕をつけても、応用力はゼロのままです。
- 文法終了後に即、長文へ突撃する: これが最も多い失敗です。「ルールの知識」と「文章を読む技術」の間には、埋めるべき巨大な溝があります。
- 参考書のつまみ食い: 1冊を完璧にする前に新しい本に手を出し、全ての単元が中途半端なまま終わります。
これらを避け、最短距離でゴールに向かうのが以下の戦略です。
基本戦略:1日50分「理解」と「実践」の往復運動
英文法学習の鉄則は、まとめてやるのではなく、毎日コンスタントに「インプット」と「アウトプット」を繰り返すことです。1日50分を確保し、以下のサイクルを回してください。
ステップ1:【理解】総合英文法書で「理屈」を掴む
- 使用教材例: 『真・英文法大全』
- 目的: 暗記ではなく「納得」。
- まず、学習する単元(例:「仮定法」「分詞構文」)の解説を読み込みます。「なぜここで過去形を使うのか?」「なぜこの語順になるのか?」という「理屈」を徹底的に理解してください。この「なるほど!」という感覚がない知識は、すぐに剥がれ落ちます。
ステップ2:【実践】英文法問題集で「検証」する
- 使用教材例: 『英文法ポラリス』シリーズ
- 目的: 知識の運用。
- 理解した直後に、対応する単元の問題を解きます。ここで重要なのは「正解すること」ではなく、「ステップ1で得た理屈を使って、正解を導き出せるか」を確認することです。間違えた問題、理由が曖昧な問題は即座に解説に戻り、疑問を潰してください。
鉄の掟:知識を血肉にする「3周反復ルール」と「セルフレクチャー」
ここが本記事の最重要ポイントです。 ステップ1・2を全単元終えても、それは「1周目」に過ぎません。絶対にここでレベルを上げたり、別の教材に移ったりしないでください。人間の脳は忘れるようにできています。以下の「3周ルール」は推奨ではなく「必須」です。
1周目:理解と選別
時間をかけて「理屈」を理解し、問題を解きます。間違えた問題には必ずチェックを入れておきます。
2周目:定着とスピード
全く同じ教材を使います。1周目で理解した記憶をなぞる作業です。驚くほど速く進めるはずですが、油断せずに記憶の定着度を高めます。
3周目:到達目標「セルフレクチャー」
これが最終ゴールです。参考書の解説部分を見る前に、「自分自身に対して講義(セルフレクチャー)」を行ってください。「仮定法過去というのは、現在の事実に反することを言うための表現で、時制を一つ前にずらすことで現実との距離感を表すんだ。だから形は…」このように、何も見ずに理屈をスラスラと説明できて初めて「完了」とみなします。 これができれば、入試本番でド忘れすることは万に一つもありえません。
ミッシングリンク:文法が終わったら「長文」へ行ってはいけない
「英文法の3周(セルフレクチャー)が終わった! 次は英語長文だ!」 多くの受験生がここで道を誤ります。文法と長文の間には、必ず「英文解釈」という工程を挟まなければなりません。
- 英文法: ルールや知識(点)
- 英文解釈: 文法知識を使って、一文の構造(SVOC)を見抜き、正確に訳す技術(線)
- 英語長文: 解釈の技術を使って、文章全体の論旨を掴む総合力(面)
文法知識があっても、それを実際の英文の中でどう使うか(解釈)の訓練がなければ、長文は読めません。「なんとなく単語を繋いで読む」悪い癖がつくだけです。 必ず解釈参考書を経由してください。
レベル別攻略:「横」に展開する正解ルート
英語学習は難易度を上げる(縦に進む)前に、各分野を完成させる(横に進む)必要があります。
× 誤った進め方(縦のみ) レベル1文法 → レベル2文法 → レベル3文法… (これではいつまで経っても長文が読めません)
〇 正しいロードマップ(横へ展開)
- レベル1 文法(3周・セルフレクチャー完了) ↓
- レベル1 英文解釈 ↓
- レベル1 英語長文 ↓ (ここで初めてレベルを上げる) ↓
- レベル2 文法 → 解釈 → 長文
このように、「文法→解釈→長文」のセットを1つのレベルで完結させてから、次のレベルへ進んでください。これが最短最速で偏差値を上げるルートです。
まとめ:文法は「解く」ためではなく「読む」ためにある
戦略をまとめます。
- 1日50分サイクル: 参考書で「理屈」を入れ、問題集で「即検証」する。
- 3周は義務: 「なんとなくわかる」で終わらせず、「何も見ずに解説できる(セルフレクチャー)」まで同じ教材を擦り切れるまで回す。
- 解釈を挟む: 文法が終わったら必ず「英文解釈」を経てから長文へ進む。
英文法は、パズルを楽しむためのものではありません。難解な長文を読み解くための「土台」であり「武器」です。 今日から「ただ解くだけ」の学習は捨ててください。誰もいない部屋で、自信満々に文法講義ができるようになった時、あなたの英語力は劇的に変わっています。



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