「『重要事項完全習得編』を終えて、偏差値は上がった。でも、MARCH上位や同志社の過去問を見ると、まだ何かが足りない気がする……」 「標準問題は解けるけれど、少し捻られた応用問題になると手が出なくなる……」
もしあなたが今この状態なら、おめでとうございます。あなたは今、文系数学の「最後の壁」の前に立っています。 ここから先は、ただ公式を当てはめるだけの勉強では通用しません。難関大が課す「思考力の壁」を突破するために必要なのが『文系の数学 実戦力向上編』です。
今回は、この一冊を、合計「90時間」で完全に血肉にするための戦略を公開します。ただし、警告しておきます。この本は生半可な実力で手を出すと、確実に火傷します。

参考書データ
| 項目 | 詳細 |
| 書名 | 文系の数学 実戦力向上編 |
| おすすめ度 | ★★★★★(星5) |
| メイン対象 | MARCH上位(明治・立教・青学)・関関同立(特に同志社)レベル |
| 前提レベル | 『文系の数学 重要事項完全習得編』を完走済み、または同等の実力者 |
| 到達レベル | 難関私大の応用問題・融合問題で完答できる力 |
| 問題数 | 例題90問 + 演習問題110問 |
| 修了目安時間 | 計91時間(1周目45h + 2周目23h + 3周目23h) |
なぜ『実戦力向上編』が必要なのか?
『重要事項完全習得編』が「定石」を学ぶ本だとすれば、本書は「定石の使い方(または崩し方)」を学ぶ本です。
難関大の入試では、一見してどの公式を使えばいいかわからない問題や、複数の単元が絡み合った「融合問題」が出題されます。これらは、単なる暗記では太刀打ちできません。本書は、そうした「合否を分ける難問」を論理的に解きほぐすための「思考の型」を授けてくれます。
数をこなすことよりも、「1問からどれだけのエッセンスを吸収できるか」という、質の高い学習が求められるステージです。
「標準問題精講」や「1対1」との違いは?
難関大を目指す受験生なら、旺文社の『数学 標準問題精講』や、東京出版の『1対1対応の演習』も候補に挙がっていることでしょう。どちらも名著ですが、『文系の数学 実戦力向上編』を選ぶ最大のメリットは「圧倒的なコストパフォーマンス(時間対効果)」にあります。
1. 「広く浅く」ではなく「狭く深く」
『標準問題精講』や『1対1』は網羅性が高い反面、問題数が膨大です。消化不良を起こしたり、1周するだけで入試直前になってしまったりするリスクがあります。 一方、本書は「合否を分ける重要問題」を厳選しています。
- 他書: 多くの問題を解き、「解法パターン」を網羅する(時間がかかる)
- 本書: 少ない問題を骨の髄までしゃぶり尽くし、「思考の型」を習得する(短期間で済む)
「なんとなく300問解いた」人よりも、「90問を誰かに解説できるレベルで完璧にした」人の方が、入試本番では強いのです。
2. 「これ1冊」で完結する手軽さ
通常、このレベルの参考書を揃えようとすると、分野ごとに分冊されており、何冊も購入する必要があります。
- 『標準問題精講』:I・A、II・B……と複数冊必要
- 『1対1対応の演習』:数I、数A、数II、数B……とさらに細分化
- 『実戦力向上編』:文系数学の範囲(I・A・II・B)がこれ1冊!
お財布に優しいだけでなく、「復習時の持ち運びやすさ」や「ゴールが見えやすい(これ1冊やればいいという安心感)」という点でも、受験生にとって大きな精神的支えになります。
【警告】購入前の注意点・デメリット
本書の最大のメリットは解説の深さですが、ここではあえて最大の注意点からお伝えします。
「安易に手を出すと痛い目を見ます」
これは私(塾長)の実体験です。かつて、日東駒専・産近甲龍レベルの参考書を終えた直後、「次はこれだろう」と軽い気持ちで本書に手を出しました。 結果は、惨敗でした。 解説の内容が高尚すぎて理解できず、自信を喪失し、一度挫折しています。
この本は、『重要事項完全習得編』レベルの基礎・標準が完璧になっていないと使いこなせません。 「まだ基礎に不安がある」「標準問題でつまづくことがある」という人は、勇気を持って『重要事項完全習得編』に戻ってください。それが結果的に近道になります。
90時間で攻略!「深く理解する」ための3周サイクル
本書も『重要事項完全習得編』と同様、時間がなければ「例題(90題)」のみに絞ってください。演習問題に手を広げるよりも、例題の解法プロセスを誰かに説明できるレベルまで高める方が重要です。
『実戦力向上編』は問題数が少ない分、1問にかける時間を長く取ります。
1周目:【深層理解】思考のプロセスを追う(目安:45時間)
- 目的: 難問に対するアプローチ方法を学び、解説の「考え方」を熟読する。
- ペース: 50分で2題
- 手順:
- じっくり時間をかけて問題を解く(10分〜15分考えてわからなければ解説へ)。
- 解説を読む際、単に式を追うのではなく、「なぜその初手を選んだのか」「どこで条件を使い切ったのか」という記述の背後にあるロジックを読み解く。
- ポイント: 1問あたり25分という贅沢な時間配分です。これは「解く時間」ではなく「納得する時間」に使ってください。この段階での「なるほど!」という深さが入試本番の底力になります。
2周目:【定着確認】自力で再現する(目安:23時間)
- 目的: 理解した高度な解法を、自分の手で再現できるか確認する。
- ペース: 50分で4題
- 手順:
- 1周目の倍のペースで解き進める。
- 途中で詰まったら、すぐに解説を確認し、ロジックの抜け漏れを修正する。
- ポイント: ペースは上がりますが、雑に解くのは厳禁です。記述解答として減点されない答案が書けているか、厳しくチェックしましょう。
3周目:【最終仕上げ】「瞬殺」の領域へ(目安:23時間)
- 目的: 知識を完全に定着させ、次のステップへ進む準備をする。
- ペース: 50分で4題
- 手順:
- 2周目と同じペースで総仕上げ。
- 解法が瞬時に浮かび、計算も淀みなく行える状態を目指す。
この参考書の「次」に進むべき道
このハードな90時間を乗り越えたあなたは、すでに受験者層の上位数%に食い込んでいます。残された期間と志望校に合わせて、以下のどちらかを選択してください。
- 志望校の過去問(赤本)へ: 『実戦力向上編』の内容がしっかり定着していれば、MARCH上位や同志社の過去問でも十分に戦えるはずです。ここからは志望校の傾向(時間配分、頻出分野)に慣れるための演習に入りましょう。
- 『大学入試問題集 ゴールデンルート 数学I A・II B 応用編』へ: 「まだ過去問に入るには少し演習不足を感じる」「もう少し実戦形式で腕試しをしたい」「早慶・旧帝国大学レベルを目指す」という場合は、この本まで進めましょう。本書で培った力を、より入試に近い形式でテストできます。
まとめ
『文系の数学 実戦力向上編』は、下記の人たちにおすすめです。
- 『重要事項完全習得編』を卒業した人
- MARCH上位・同志社合格を確実にしたい人
- 過去問演習の前に、強固な「思考の軸」を作りたい人
安易な気持ちで挑むと弾き返されますが、覚悟を決めて取り組めば、これほど頼もしい武器はありません。 「数は追わず、質を追う」。 この90時間で、あなたの数学力を「合格者平均」から「合格者上位」へと引き上げてください!




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