「評論文はある程度解けるけど、随想(エッセー)になると点数が安定しない……」「筆者の思い出話が長すぎて、結局何が言いたいのかわからない……」
模試や入試で随想が出題されると、全体の平均点が大幅に下がる傾向があります。しかし、恐れる必要はありません。随想の攻略法は、実は「読書感想文」の構造と同じだからです。
この記事では評論文で培った「論理の追跡」を応用し、随想特有の「体験談」と「筆者の哲学」を明確に切り分けるための読解テクニックを解説します。随想は、解き方さえ分かれば、ライバルと大きく差をつける「得点源」に変わります。
メソッド・データ
| 項目 | 詳細 |
| 対象 | 随想・エッセーで点数が安定しない、小説と評論の区別がつかない全受験生 |
| 目的 | 長い「私的体験」の中から、核心となる「主観・考察」を抜き出す |
| 効果 | 「なんとなくいい話だった」で終わらず、設問の根拠をピンポイントで特定できる |
| 基本ルール | 体験談(事実)を括弧( )でくくり、心情・考察(主観)に線を引く |
なぜ、随想は「点数がブレる」のか?
随想において最も危険なのは、「筆者の体験談に感情移入しすぎること」です。
随想は、筆者の個人的な思い出や、日常の出来事(=体験)から始まります。読んでいるうちに「それは大変だったな」「自分も似た経験があるな」と入り込んでしまうと、それは「読書」であって「読解」ではなくなってしまいます。
随想も現代文のテストである以上、求められているのは「共感」ではなく「分析」です。評論文と同じく、客観的なマーキング作業が不可欠です。
随想の正体は「大人の読書感想文」である
随想の構造は、小中学校で書いた「読書感想文」と全く同じです。
- 体験(事実パート)
- 「今日、私は〇〇へ行った。」「昔、こんな失敗をした。」
- 感想・考察(主観パート)
- 「そこで私は〇〇と感じた。」「人生とは〇〇なものだと思った。」
随想の文章の9割は「体験(事実)」で構成されていますが、点数になるのは残りの1割の「考察(主観)」です。この2つを明確に区別し、「体験」を踏み台にして「考察」へジャンプする瞬間を捉えることが、随想攻略の全てです。
随想を攻略する「2つの視点」
評論文の読み方をベースにしつつ、随想特有の処理方法をマスターしましょう。
視点1:体験談は「長い具体例」として処理する
随想における「体験談(思い出話)」は、評論文でいう「具体例」と同じ役割です。
- 印のルール:具体的なエピソード、風景描写、過去の出来事は、大きな括弧( )でくくり、「ここは具体例」と認識する。
- 読み方:ここは速読で構いません。「何が起きたか(事実)」だけ把握し、その中にある「意味」を探そうとしないこと。意味は、その後に筆者自身が書いてくれています。
(例)
(子供の頃、私は近所の古本屋に通うのが日課だった。薄暗い店内で本の匂いを嗅ぐ時間が好きだった……云々)
↑これらは全て「具体例(体験)」です。括弧でくくって処理します。
視点2:心情・考察の「スイッチ」を見逃さない
体験談がひと段落した直後、または体験談の合間に、筆者がふと「我に返る」瞬間があります。これが「考察のスイッチ」であり、出題ポイントです。
- 印のルール:心情語、主観表現、一般化された言葉に線(ー)を引く。
- 注目ワード:
- 思考動詞:~と感じた、~と思った、~に気づいた、~を悟った
- 一般化・抽象化:つまり、要するに、人生とは、人間とは
- 強調:~こそ、~ではないか(反語)
(例)
(……そんな古本屋での日々こそが、)
今の私の思索の源泉になっているのだと思う。↑ここが「考察(主観)」です。体験談はこの一行を言うための「前フリ」に過ぎません。
ピンチをチャンスに変える「戦略的思考」
冒頭で述べた通り、随想が出題されると受験生全体の平均点は下がる傾向にあります。多くの受験生が「筆者の思い出話」に足を取られ、時間切れになったり、なんとなくの雰囲気で選択肢を選んでしまったりするからです。
しかし、これはチャンスです。
「随想は、具体例(体験)がやたらと長いだけの評論文である」と割り切ってしまえば、やることはシンプルです。体験部分をサクサク処理し、数少ない「抽象論(主観)」を見つけ出す。これだけで、ライバルたちが苦戦する中で、高得点を叩き出し、大きな差をつけることができます。もし解けなくても、平均点が低いので焦る必要はありません。しかし、解ければ「勝ち」確定です。
まとめ:体験に溺れず、真意をすくい取れ
随想の読み方は、評論文の応用です。
- 「体験(具体例)」と「考察(抽象論)」を分ける。
- 長い自分語りは括弧に入れ、その後の「~と思った」に線を引く。
- 読書感想文と同じ構成(体験→教訓)であることを忘れない。
筆者の思い出に付き合うのではなく、筆者がその思い出から「何を学び、何を伝えたかったのか」というエッセンスだけを抽出する。この「冷徹な分析」こそが、随想を攻略する鍵となります。



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