「最後まで解ききれず、適当にマークして終わってしまった……」 「丁寧に読みすぎて、古文・漢文に回す時間がなくなった……」
国語の試験において、多くの受験生を悩ませるのが「時間不足」です。しかし、実は読むスピードそのものを上げる必要はありません。時間を短縮する鍵は、文章の「強弱」をつけ、「具体例」を戦略的に速読することにあります。
この記事では、現代文(評論文)を時間内に解き切るための具体的かつ実践的な読解メソッドを公開します。
現代文が遅い理由は「具体例」への執着にある
国語の試験時間が足りなくなる最大の要因は、現代文、特に評論文の読み方にあります。筆者の主張(抽象論)を理解しようとする姿勢は正しいのですが、それだけでは劇的な時間短縮には繋がりません。
時間がかかる受験生は、「具体例」まで抽象論と同じ熱量で丁寧に読んでしまっています。 具体例はあくまで抽象論を補足するための「パーツ」に過ぎません。ここを「速読」あるいは「意識的に読み飛ばす」ことこそが、タイムマネジメントの生命線です。
メソッド:抽象論に線を引き、具体例を( )でくくる
文章を読み進める際、以下のルールで視覚的に整理してください。
- 抽象論(筆者の主張・結論): 線(ー)を引く。
- 具体例(エピソード・データ・比喩): 大きな括弧( )でくくる。
基本構造として、具体例の前後にはほぼ必ず抽象論が存在します。 直前の抽象論で意味が理解できたなら、その後に続く長い具体例は「確認作業」として斜め読みするだけで十分です。これにより、文章の9割を占めることもある具体例の読解時間を大幅にカットできます。
具体例を読み飛ばしても「得点」できる理由
「具体例を飛ばして設問が解けるのか?」と不安に思うかもしれません。しかし、以下の理由からその心配は不要です。
- 設問の核は「抽象論」にある
- 入試問題の多くは、筆者の主張や論理構成を問います。解答の根拠は、具体例そのものではなく、その具体例によって導き出された「抽象的な結論」にあることがほとんどです。
- 具体例が問われる時は「指示」がある
- 具体例が解答に関わる場合は、「具体的にどういうことか説明せよ」といった明確な指示があります。その時だけ、( )でくくった箇所に戻ればよいのです。
必見!「具体例・抽象論」を見分けるシグナルワード集
文章の中で「ここから具体例だ」「ここからまとめ(抽象)だ」と判断するためのキーワードを整理しました。
具体例を導く表現(ここからスピードアップ)
- 直接的な表現: 例えば、具体的には、一例を挙げれば、~といった
- ケースの提示: ~の場合、~の際、ある時、かつて、~を想像してみよう
- 引用・データ: ~という調査がある、~氏は「……」と述べている
抽象論を導く表現(ここから集中して読む)
- 要約・結論: つまり、要するに、結局、このように、したがって、ゆえに
- 筆者の確信: 実は、まさに、~に他ならない、~ではないだろうか(反語)
- 一般化: 換言すれば、言い換えれば、重要なのは
接続詞がない場合の「見極め方」
難関校の文章では、接続詞なしに具体と抽象が切り替わることがあります。その際は以下の「視点の変化」に注目してください。
- 具体へ:「私」「ある国」「18世紀」など、固有の名詞や特定の時間・場所が出てきたら具体例のサインです。
- 抽象へ:「人間は」「社会とは」「文化というものは」など、主語が大きく普遍的な内容に切り替わったら抽象論のサインです。
読書習慣は不要。受験生に残された唯一の解決策
「本を読めば速くなる」というアドバイスは、時間に余裕のある低学年向けです。高2・高3生が今から読書を始めても他の科目を圧迫するだけで、試験の点数には直結しません。
私自身、高校時代は現代文の定期テストで欠点を取るほど苦手でした。しかし、この「具体例と抽象論を切り分ける読み方」を徹底したことで、浪人時代には共通テスト国語や大阪大学の2次試験でも、時間が余るほど余裕を持って完答できるようになりました。 必要なのは読書量ではなく、「構造を見抜く技術」です。
まとめ:評論文は「論理」、古文・漢文は「訳」で割り切る
最後に、国語全体の戦略を整理します。
- 現代文(評論): 具体例を( )でくくり、抽象論に時間を割く。論理の骨組みを追う。
- 古文・漢文: 評論文のような深読みは不要。単語と文法による「正確な訳」ができれば、解答根拠は自明なものが多い。
「なんとなく」読むのをやめ、具体例を処理できるようになれば、国語は必ず時間内に終わります。次の演習から、ぜひ( )と線を使い分けてみてください。



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