「公共、倫理」は、数ある地歴公民科目の中で最も「読解力」と「抽象的思考力」が要求される科目です。新課程では、単に哲学者の名前と名言を暗記するだけでは太刀打ちできません。「先人たちがどのような問いを持ち、どう答えたか」という思想の系譜を理解しているかを問われます。
「公共」で現代社会の課題への向き合い方を学び、「倫理」で人間としての根源的な価値観を深める。この相互作用を意識した「単元別・完全習得ロードマップ」を解説します。

ステップ1:自己の確立【「公共」×青年期】
まずは学習の入り口として、「公共」の冒頭と「倫理」の青年期を統合して学びます。ここでは「人間とは何か」「私とは何か」という最も身近な問いからスタートします。
【攻略の鉄則】
- 心理学用語を自分の体験と結びつける
- アイデンティティ(エリクソン)、マージナル・マン(レヴィン)、防衛機制(フロイト)などの概念は、定義を覚えるだけでなく「あ、これは自分のあの時の感情だ」と具体例に落とし込んで理解します。
- 「自由」と「責任」の定義を押さえる
- 人間は自由な存在であると同時に、社会の一員です。「公共」で学ぶ「社会契約」の前提には、自律した個人の存在があります。「消極的自由」と「積極的自由」の違いなど、自由の質的な違いを理解しておきます。
ステップ2:源流の探究【古代思想・宗教】
ここから本格的な倫理分野に入ります。ギリシャ思想、キリスト教、イスラーム、仏教、中国思想といった、人類の思考の「源流」を押さえます。
【攻略の鉄則】
- 「理想の人間像」を比較する
- それぞれの思想が目指すゴール(理想)は何かを比較します。
- ギリシャ:理性に従って生きる「知恵ある人」
- キリスト教:神の愛を信じ隣人を愛する人
- 仏教:執着を捨て、悟りを開いた人(ブッダ)
- 儒教:徳を積み、仁を実践する「君子」
- それぞれの思想が目指すゴール(理想)は何かを比較します。
- 対比構造で整理する
- 「ソフィスト(相対主義)vs ソクラテス(絶対的真理)」や「性善説(孟子)vs 性悪説(荀子)」など、対立軸で捉えることで、それぞれの主張の輪郭がはっきりします。
ステップ3:自我の展開【西洋近代・日本思想】
科学革命以降の西洋哲学と、それを受容・独自展開した日本思想を学びます。ここは多くの受験生が苦戦する最難関パートですが、歴史の流れ(ストーリー)として捉えることが突破口です。
【攻略の鉄則】
- 「真理の基準」の移動を追う
- 西洋思想史は、真理の置き場所が変わる歴史です。「神(中世)」から「人間の理性(デカルト・カント)」へ、そして「社会・歴史(ヘーゲル・マルクス)」へ、さらに「実存(サルトル)」へと、主役がどう移り変わったかを意識します。
- 日本思想は「外来思想+日本的受容」で解く
- 日本の思想家は、海外の教えをそのまま受け入れたわけではありません。「仏教をどう日本風に変えたか(鎌倉仏教)」「西洋哲学をどう翻訳したか(西田幾多郎)」という、アレンジの視点を持つと理解が深まります。
ステップ4:現代の課題【応用倫理・課題解決】
最後に、「倫理」で学んだ思想を武器に、「公共」で扱う現代社会のジレンマに切り込みます。生命倫理、環境倫理、情報社会などがテーマです。共通テストでは、この分野で長文の読解問題(対話文など)が頻出します。
【攻略の鉄則】
- 思想家を現代の会議に召喚する
- 「出生前診断について、カントならどう言うか?(人間の尊厳を守れ)」「ベンサムならどう言うか?(幸福の総量は増えるか)」というように、過去の哲学者を現代の課題に当てはめてシミュレーションする思考訓練を行います。
- 未知の文章への耐性をつける
- 教科書に載っていない現代思想家の文章が出題されることもあります。しかし、問われているのは知識ではなく、リード文の論理構成です。「筆者はAという前提からBという結論を導いている」という論理の骨格を抜き出す練習をします。
まとめ:社会科目は「知識」から「知恵」へ
- 「公共」で現代社会の舞台設定を知り、「倫理」で役者のセリフ(思想)を学ぶ。
- 思想用語は暗記せず、「誰に対して、何を批判した言葉か」という文脈で捉える。
- 常に「この思想は、現代のこのニュースに応用できる」という視点を持つ。
「公共、倫理」は、過去の偉人たちの思考プロセスを借りて、現代の複雑な正解のない問いに立ち向かうための科目です。ロードマップに沿って「思考の型」を身につければ、試験の得点だけでなく、一生モノの教養が手に入ります。
裏ステップ:【全ての土台】「国語力」なしに攻略は不可能
ここまで4つのステップを解説してきましたが、最後に一つ、残酷な事実をお伝えしなければなりません。それは、新課程の「公共、倫理」は、もはや「知識問題」ではなく「国語の問題」に近いということです。
共通テストの試行調査や予想問題を見れば一目瞭然ですが、以下のような出題が激増しています。
- 初見の思想家の文章を読ませ、その論理展開を問う問題
- 生徒同士の会話文(対話形式)から、論点のズレを指摘する問題
- 複数の資料を読み解き、正解の条件を絞り込む問題
どれだけ用語を暗記しても、長いリード文を正確かつスピーディーに読み解く「現代文の力」がなければ、時間内に正解にたどり着くことは不可能です。逆に言えば、確固たる現代文の力さえあれば、最小限の知識で高得点を叩き出すことができる「コスパの良い科目」でもあります。
社会科目の点数が伸び悩む本当の原因
「用語は覚えたのに点数が取れない」「リード文が長すぎて頭に入ってこない」「2つの選択肢で迷って間違える」もしあなたがそう感じているなら、それは社会の勉強不足ではありません。土台となる「読む力」の不足です。
当塾は、「現代文」に特化した学習塾です。 一見、社会科とは無関係に思えるかもしれませんが、当塾で徹底的に鍛える「論理的読解力」は、英語や数学の文章題、そして何より「公共、倫理」「公共、政治・経済」において、最強の武器となります。
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