「公式や用語は暗記しているのに、模試や過去問になると手が止まってしまう」「解説を読めば『知っている知識』なのに、試験中に自力で思いつけない」
これまで一生懸命インプットをしてきた受験生にとって、これほど歯がゆいことはありません。知識が定着していないのかと不安になり、さらに単語帳や参考書を繰り返す人も多いですが、それでは根本的な解決にならないことがあります。
この症状は、単なる「知識不足」ではありません。「脳内にある知識」と目の前の「問題文」がリンクしていないことが原因です。本記事では、知識はあるのに問題に正解できない原因と、それを克服するための具体的な学習方法について解説します。

原因:なぜ知識があるのに解法を「見抜けない」のか?
知識はあるのに解けない最大の原因は、「知識の整理の仕方」と「問題文の読み取り方」の接続がうまくいっていない点にあります。具体的には以下の2つの要因が挙げられます。
知識の覚え方が「単語帳的」になっている
用語や公式そのものは覚えていても、「それがいつ使われるのか」という「適用条件」がセットで記憶されていない状態です。 例えば、数学の余弦定理の公式自体は完璧に暗記していても、「どのような条件が揃った時に余弦定理を使うべきか」という情報が欠落していると、手も足も出ません。
問題文の「翻訳」ができていない
多くの試験問題では、教科書通りの表現がそのまま使われるわけではありません。問題文特有の言い回しや条件提示がなされます。 解けない人は、問題文にある日本語や与えられた条件を、「これはつまり、参考書で言うところの〇〇という知識を使う場面だ」と変換するプロセスが抜け落ちているのです。
具体的な対策:復習のやり方を変える
この現状を打破するためには、「復習の質」を変える必要があります。解説を読んで「なるほど」と納得するだけの復習では、同じミスを繰り返します。以下の手順を取り入れてください。
① 「翻訳」のプロセスを言語化する
問題を解いて答え合わせをした後、解説を見て使用する公式や解法を理解するだけでは不十分です。「問題文のどこを見れば、その解法に気づけたのか」を特定し、言語化することが重要です。
- 悪い復習例:「この問題は余弦定理を使う問題だった。次は気をつけよう。」
- 良い復習例:「問題文に『3辺の長さ』と『1つの角のコサイン』という情報が与えられている。→ この組み合わせが出たら、余弦定理を使う合図だ。」
このように、「問題文の〇〇という言葉・条件」=「××という解法を使う合図」というリンクを意識的に作る作業を行ってください。
② 知識に「いつ使うか」のタグを付ける
参考書や単語帳によるインプットに戻る際、知識の覚え方を少し変えます。用語や公式の意味だけでなく、「文中のサイン(適用条件)」をセットで覚えるようにします。
- 英語の例:文法事項を覚える際、日本語訳だけでなく、「どのような語句と共に使われることが多いか」も覚える。
- 例:
by the timeという表現が来たら → 「完了形」が使われる可能性を疑う。
- 例:
③ 参考書を能動的に行う
参考書を用いた学習では、すぐに解説を見るのではなく、「解説を見る前に自分で解法の方針を言語化できるか」を試してください。計算まで完遂できなくても、「この条件があるから、あの方針でいけるはずだ」と仮説を立てるトレーニングが、解法を見抜く力を養います。
次の過去問演習で意識すること
これからの演習では、問題を見たらすぐに鉛筆を動かして計算や記述を始めるのではなく、最初の1分間を使って「捜査」を行ってください。
- キーワード探し:問題文の中に、解法のヒントになる「怪しい言葉」や「特殊な条件」はないかを探します。
- 解法の仮説:「このキーワードがあるということは、あの知識が使えるかもしれない」とあたりをつけます。
- 検証:立てた仮説に基づいて、実際に計算や思考を進めます。
この「捜査」の時間を設けることで、反射的に誤った解法に飛びつくのを防ぎ、適切な知識を引き出せる可能性が高まります。
まとめ:メンタル面のアドバイス
「知識はあるのに解けなかった」という状態は、実は学力が飛躍的に向上する直前の段階にいます。全く知らない知識ではなく、すでに頭の中にある知識の「繋ぎ方」を習得すればよいだけだからです。ここを乗り越えると、偏差値や得点は一気に安定します。
解けなかった問題に対して「なんで気づかなかったんだ!」と自分を責める必要はありません。代わりに、「なるほど、試験ではこういう聞き方をされるのか。その時はこの知識を使えばいいんだな。一つ新しいパターンを習得できた」と前向きに捉えてみてください。



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